イラクとシリアのイスラム国(ISIS)は、イラクのアルカイダ(AQI)の残党から生まれた。ISISという通称は、シリア紛争などで活動を拡大するに伴い、地域的な野心を表わすことから採択した。ISISを率いたアブ・バクル・アル・バグダーディー(Abu Bakr al-Baghdadi)は、2014年6月にイスラム帝国の樹立を宣言し、2019年10月27日、アル・バグダーディーを捕らえようとした米国の軍事行動中に殺害された。ISISは、シリア紛争とイラクの宗派間対立を利用して、これら二国領土のコントロールをにぎった。2019年、複数の提携国および国際機関からなるISIS打倒グローバル連合(Global Coalition to Defeat ISIS)が、ISISの支配下にあったシリアおよびイラクの全領土を解放した。ISISに対する取り組みは、イラク、シリアその他の国で現在も続いている。
2015年11月、ISISは、組織立った一連の攻撃をパリで実行し、これにより米国人1人を含む130人近くが殺害され、350人以上が負傷した。2016年3月、ISISは、ベルギーのブリュッセルで2件の同時攻撃を指揮し、これにより米国人4人を含む32人が殺害され、250人以上が負傷した。2016年6月、ISISに忠誠を誓った銃撃犯がフロリダ州オーランドのパルス(Pulse)ナイトクラブで49人を殺害し、53人を負傷させた。2016年7月、ISISは、フランス、ニースでパリ祭を祝う人ごみにテロリストがトラックで突入した事件に対し、犯行声明を出した。この事件で、米国民3人を含む86人が死亡した。2019年1月、ISISは、シリア、マンビジュのレストランでの自爆テロに対し、犯行声明を出した。この自爆テロで、米国人4人を含む19人が殺害された。2019年のイースターの日曜日、ISISに感化されたテロリストらがスリランカの複数の教会およびホテルで組織立った自爆テロを実行し、米国民5人を含む250人以上が殺害された。
2004年12月17日、米国国務省は、米国改正移民国籍法第219条に基づき、AQI(現在ISISとして知られる)を外国テロ組織に指定した。それ以前の2004年10月15日、国務省は、改正大統領令第13224号に基づき、AQIを特別指定国際テロリストとして指定した。これにより、米国管轄下にあるISISの全資産とその権益が凍結され、米国人(米国市民、米国居住者、米国法人等)はISISといかなる取引を行うことも全般的に禁じられている。物質的援助またはリソースを意図的にISISに提供し、あるいはその提供を試み、または企てることは犯罪である。