正義への報酬(RFJ)プログラムでは、ヒズボラ(Hizballah)の金融メカニズム阻止につながる情報に対し、最高1000万ドルの報酬を提供している。
ナゼム・サイード・アハマドは、広く知られたレバノンのマネーロンダリング業者で、ヒズボラに巨額の支援を行っている。
アハマドは、ヒズボラ有数の寄付者であり、長年にわたる「血塗られたダイヤモンド」(別名「紛争ダイヤモンド」)の貿易で資金を得ている。ヒズボラは、アハマドとその会社を使ってテロ組織にかかわる巨額の資金洗浄を行っている。2016年の時点で、アハマドは有数のヒズボラ資金提供者と見なされており、自身の会社を介してヒズボラのためマネーロンダリングを行い、ヒズボラ事務総長ハッサン・ナスララ(Hasan Nasrallah)に個人的に資金援助をしていた。また、「血塗られたダイヤモンド」の密輸にも関与し、それ以前にはベルギーで営む事業を通じてヒズボラを支援していた。
アハマドは、米国から受ける制裁措置の影響を軽減するため、個人的資産の一部を価値の高い美術品の形で保有しており、マネーロンダリングの手段としてベイルートにアートギャラリーを開設した。アハマドの多様なアートコレクションは、パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホルの作品も含めて数千万ドルに相当し、その多くはベイルートの上記ギャラリーと、同市内にあるアハマドのペントハウスに飾られている。巨額現金の送金と違法金融取引により、アハマドは正規課税から資産を守ろうとした。不正に得た利益をレバノン政府から隠すことにより、アハマドは、深刻な経済課題に直面するレバノンの政府と国民が何よりも必要としている税収を奪い取っているのである。
2019年12月13日、米国財務省は、改正大統領令第13224号に基づき、ヒズボラに対し、またはヒズボラを支援するため、著しい支援、資金提供、あるいは財政的・物質的・技術的支援または物品・サービスを提供したとして、アハマドを特別指定国際テロリストに指定した。この指定により、米国管轄下にあるアハマドの全資産とその権益が凍結され、米国人(米国市民、米国居住者、米国法人等)はアハマドといかなる取引を行うことも全般的に禁じられている。また、米国が外国テロ組織と指定したヒズボラに、物質的援助またはリソースを意図的に提供し、あるいはその提供を試み、または企てることは犯罪である。